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降圧型DC-DCコンバータとは?基本的な仕組みや目的、昇圧型との違いを解説

カテゴリ:
電源の仕組み

DC -DCコンバータには昇圧型と降圧型、そして昇降圧型があります。それぞれ用途が大きく異なるので、違いや仕組みをよく理解しておきましょう。

本記事では降圧型DC -DCコンバータの基礎知識や目的、昇圧型との違いについて解説します。

降圧型DC -DCコンバータの基礎知識

コンバータは交流あるいは直流を、直流に変換する装置です。DC(Direct Current)は直流を意味するため、DC-DCコンバータの場合、直流から直流へ変換する装置を意味します。このうち、元の電圧よりも低い電圧に変換するものを降圧型DC -DCコンバータと呼び、さらにリニアレギュレータ型とスイッチング型の2種類に分かれます。

リニアレギュレータ型は、入力用・グランド用・出力用の三つの端子を用いるタイプです。抵抗やトランジスタなどの半導体によって電圧を降下させると共に、余分な電圧を熱に変換します。シンプルな構造なので大量生産しやすく、コストが安価なところが特徴ですが、熱を放出する関係上、大きな電流の出力には対応していません。

また、いらない電気を熱に変えてしまうことから、降圧方法としては非効率的とされています。

そこで近年主流となっているのがスイッチング型です。スイッチング素子のオン・オフを高速で繰り返すことで入力電圧をパルス状に区分し、平均化させることで電圧を下げます。

スイッチング型の場合、リニアレギュレータ型と比較して発熱が少ないことから、大きな電流の出力にも対応可能です。以下では、現在主流のスイッチング型の原理を説明します。

基本的な仕組み

降圧型DC -DCコンバータは、下図のような回路です。MOS FET(スイッチとして使用されるトランジスタ)、ダイオード、コイル、コンデンサにより構成されています。基本的な仕組みは以下の流れとなります。

降圧型DCDCコンバータ
  • スイッチング素子がオンになると、電流がコイルを流れることで磁界が生まれてエネルギーが蓄積される
  • この状態でスイッチング素子をオフにするとコイルのエネルギーが放出され、整流ダイオードが導通し出力側に電気が流れる
  • 電気の流れが阻止されていたため、出力される電圧は元の電圧よりも低くなる(降圧)

なお、出力電圧は、スイッチング素子のオン・オフ時間によって調整が可能です。

主な種類

回路の構成によって2つの種類に区分されます。

非絶縁型

非絶縁型とは、トランスを使用しないチョッパーと呼ばれる回路を採用したものです。降圧の場合、元の電圧の1/10程度まで電圧を下げることができます。トランスが組み込まれていない分、後述する絶縁型よりも安価で、かつ小型化しやすいところが利点です。

絶縁型

絶縁型とは、トランスを使用した回路を採用したものを指します。高電圧で給電されている電源では、入力側の高い電圧が出力側に伝わらないため、感電のリスクを減らすことが可能です。ノートパソコンや産業機器、医療機器など、人が触れるものは絶縁型である必要があります。

また絶縁トランスが組み込まれている分、非絶縁型よりもさらに比率の高い降圧が可能となるため、様々な電圧の出力ができるところも特徴です。ただし、トランスを内蔵している関係上、非絶縁型よりもサイズが大きくなることと、コストが割高になるところが難点です。

昇圧型との違い

昇圧型コンバータは、元の電圧よりも高い電圧を生み出すことを目的とした装置です。降圧型コンバータと同じ部品を用いて、下図のように配置を変えることで昇圧することが可能です。

昇圧型DCDCコンバータ

降圧型DC -DCコンバータの目的

日本において、家庭用コンセントから供給される交流はAC100Vとなっていますが、電子機器は必ずしもAC100Vで動作するのは少なく、DC10VやDC15Vなど、より小さい電圧で動くものがほとんどです。また、入力電圧はDC12Vにもかかわらず、機器の内部に複数の電圧を必要とする部品もあります。例えばノートパソコンは、ACアダプタの出力電圧はDC12Vにもかかわらず、DC3.3VやDC5Vで動作する電子部品が多数搭載されています。

適した電圧と異なる電圧の電気を流すと、誤動作・劣化・故障を招く原因となるため、それぞれの機器・部品に適した電圧の電気を流す必要があります。降圧型DC-DCコンバータは、入力電圧をそれぞれの部品が必要とする電圧に下げて出力し、電子機器の正常な稼働をサポートしています。

降圧型DC-DCコンバータは電子機器の正常な稼働に必要な装置

降圧型DC-DCコンバータは、入力電圧を電子機器ごとに適した電圧に下げることを目的とした装置です。それぞれの電子機器に適した電圧に降圧することで、機器の誤動作・劣化・故障を防ぎ、安定した利用を実現します。電子機器の正常な稼働になくてはならない装置なので、用途やニーズに合った製品を選ぶようにしましょう。

アジア電子工業では、縦型オンボードタイプやオンボードタイプ、ユニットタイプなどさまざまなDC-DCコンバータを提供しています。それぞれ出力容量の異なる製品をラインナップしているので、ニーズに合ったDC-DCコンバータをお求めなら、アジア電子工業までお気軽にお問い合わせください。

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