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直流とは?交流や脈流との違いやメリット・デメリット、用途を徹底解説

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電気の基本知識

電気の流れ方には、直流と交流があり、私たちの生活上では用途に応じて直流と交流が使い分けられています。

本記事では直流の基礎知識や交流、脈流との違い、直流のメリット・デメリット、主な用途について解説します。

直流の基礎知識

直流とは、電流の向きが常に同じであることを指します。英語ではDirect Currentといい、省略してDCとも呼ばれます。脈流という特殊な場合を除いて、時間が経っても電流の向きや大きさ(電流)、勢い(電圧)は変化しません。直流の分かりやすい例は、電池と豆電球をつないだときです。電池から豆電球に向かって流れる電気は直流です。コンセントに挿して使用する機器でも、内部に制御回路がある場合、一定の電圧が必要なので内部で直流に変換して使用しています。

1. 交流との違い

交流とは、時間の経過によって電気の向きや電流、電圧が変化することです。英語ではAlternating Currentというため、頭文字を取ってACと称されることもあります。電気の向きや電流、電圧は周期的に変化し、1秒間で向きが変わる回数を周波数(Hz)といいます。例えば50Hzなら、1秒間に50回電気の向きが変わるということです。直流とは異なるメリットを持っているため、私たちの生活では直流から交流へ変換させるインバータや、交流から直流へ変換させるコンバータを用いてニーズを満たしています。

2. 脈流との違い

脈流(Pulsating Current)とは、電気が流れる向きは一定であるものの、電気の大きさが変化する電流のことです。時間経過による向きの変化が生じないため、脈流も直流の一種ですが、直流は電気の向き・大きさ・勢い共に変わらない流れ方を指すため、大きさが変化する流れ方は脈流と呼んで区別されています。

脈流は、交流を直流に変換する整流を行った際に生じるものです。平滑回路を用いてならすことで、交流をより直流に近い状態に変換することが可能です。これを平滑化といいます。交流から直流へ変換する際は、この脈流をいかに抑えるかがポイントになります。

直流のメリット

直流には以下のような3つのメリットがあります。

1. 遅れや進みが生じない

直流は電気が流れる向きが一定で、大きさも変わりません。

交流は周期的に電気が流れる向きが変化しますが、コンデンサやコイルの影響を受けると、負荷に流れる電気に遅れが生じたり、反対に進みが生じたりします。直流の場合、電気が流れる向きは常に一定なので、遅れや進みが生じないところが利点です。

2. 無効電力が生じない

無効電力とは、電子機器や電化製品などを稼働する際に消費されず電源と負荷の間を行ったり来たりするだけの電力のことです。電流を余分に流す必要があるため、電源に負担がかかったり、電線での損失が増加したりします。

交流では電気の流れが周期的に変わる関係上、無効電力が発生しますが、直流では常に一定方向に電気が流れるため、無効電力が生じません。その分、電気を効率よく使えるところが大きなメリットです。

3. 蓄電が可能

直流は蓄電が可能です。一方、交流では流れる電気の向きが周期的に変化するため、そのままでは蓄電には向いていません。

直流のデメリット

直流には、以下のようなデメリットもあります。

1. 電流の遮断が困難

交流の場合、電気の向きが変わる際、一時的に電圧がゼロになります。このタイミングを狙えば、危険が生じることなく電流を遮断することが可能です。一方、直流は常に一定方向に電気が流れており、電圧が変化することもありません。高電圧がかかっている状態で強制的に電流を遮断するのは難しく、失敗するリスクがあります。また、遮断の際に火花が発生すると、放電による熱が生じ、回路が焼損してしまいかねません。

コンデンサを遮断部と並列に接続すれば、コンデンサの放電を利用して強制的に電流がゼロになるタイミングを生み出すことも可能ですが、構造が複雑になるため、回路自体のコストが割高になります。回路そのものも大がかりなものになることから、直流は交流に比べて電流遮断に難があるといわれています。

2. 電食作用のリスクがある

電食とは、異なる性質の金属同士が化学反応を起こして腐食を起こす現象のことです。電源においては、マイナス側に電食作用が起こりやすいという傾向にあります。交流の場合、プラスとマイナスは周期的に入れ替わるので、電食作用のリスクが特定の場所に偏ることはありません。

一方、直流では常に一定方向に電気が流れるため、マイナス側に接続された金属の方に電食リスクが集中しやすくなります。電食による腐食が進むと、金属に穴が開く可能性があり、電気機器に不具合や故障が生じる原因となります。

3. 電圧を変換させにくい

電気機器が必要とする電圧は製品によって異なるため、稼働させる際はそれぞれに適した電圧に変更する必要があります。交流の場合、電圧変換は比較的容易ですが、直流の場合、電圧を変換するにはDC-DCコンバータと呼ばれる機器が必要になります。

直流の用途

直流は身近な電気製品の多くに用いられています。例えば、テレビやパソコン、オーディオなどの精密機器を正常に動かすために、電流・電圧・向きが一定である直流が採用されています。それらは、常に安定した電圧が必要になるためです。

また、バッテリーを搭載した電気装置や電化製品は蓄電が必要になるため、直流が用いられます。具体例としては、自動車やノートパソコン、スマートフォン、タブレットなどです。

直流は人々の生活と密接な関係がある電気の流れ方

直流は電流・電圧・向きが常に一定となっている電気の流れ方のことです。さまざまな電気機器に用いられており、電気の向きや大きさが周期的に変動する交流に比べて安定性が高いのが特長です。しかし、直流には交流にはないメリットがある一方、デメリットもいくつかあるため、直流と交流は用途やシーンに応じて使い分けられています。

アジア電子工業では、直流の電圧を変更するDC-DCコンバータや、必要に応じて直流から交流に変換するDC-ACインバータ交流から直流に変換するAC-DCスイッチング電源などの機器を製造しています。ニーズに合わせて多彩な製品をラインナップしているので、コンバータやインバータをお求めの方は、アジア電子工業株式会社までお気軽にお問い合わせください。

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