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電気回路図とは?主な回路記号の意味や回路図の基本ルールについて解説

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電気の基本知識

電気回路図は電気回路の電源や素子、配線のつながりがひと目で分かるよう、図面で表したものです。電気回路図には、さまざまな記号(回路記号)が使われています。電気回路図の読み方に慣れていないと、どのような回路になっているのかピンとこないかもしれません。

本記事では、電気回路図に使われる主な回路記号や、電気回路図を読むときの基本ルールなどについて分かりやすく解説します。

電気回路図とは?

電気回路図とは、電気回路を図面に起こし、視覚的に分かりやすく表現したものを指します。電気回路図を読めば、電気製品の電源がどこにあるか、部品がどのように配置されているか、配線がどのようにつながっているかなどを知ることが可能です。電気製品の設計や組み立てはもちろん、メンテナンスを実施する際にも電気回路図は欠かせません。

電気回路図に使われる主な回路記号

電気回路図の中でも、電源や素子、配線を表す記号のことを回路記号といいます。電気回路図を読む上で、以下のような主要な回路記号の意味や使い方を知っておくことが大切です。

  • 電源
  • ランプ(電球)
  • スイッチ
  • 配線(ワイヤー)
  • コンデンサ
  • 抵抗器
  • トランジスタ
  • FET 
  • ダイオード
  • コイル 
  • トランス  

ここでは主な回路記号について簡単にご紹介します。

電源

直流交流

電源は電流の供給源のことで、電気回路図上では種類によってさまざまな記号で表されます。電源には電気の流れが常に一定な直流と、電気の流れが周期的に変化する交流の2種類があり、それぞれの回路記号を覚えておきましょう。

ランプ(電球)

ランプは、電気回路図では交差線が入った、楕円形の電球に似た記号で表現されます。種類の異なるランプを複数個使用する場合、それぞれに独自の回路記号を割り当てる必要があります。

スイッチ

スイッチは、電気回路のオン・オフを切り替えるものです。電気製品に使われるスイッチにはさまざまな種類があり、スイッチの数だけ回路記号も存在します。全ての回路記号を覚えるのは大変なため、まずは単極単投スイッチ(SPST)、単極双投スイッチ(SPDT)、双極単投スイッチ(DPST)、双極双投スイッチ(DPDT)など、基本的なスイッチ記号を覚えておきましょう。

配線(ワイヤー)

配線は、電源や素子を接続する電線のことです。配線の種類によって、直線や2線バスなどさまざまな配線記号が用いられます。

電気回路図を読むときに注意したいのが、配線が接続しているのか、それとも交差している(接続していない)のかです。配線が十字に接続している場合は、分かりやすくするために黒丸の接続点を付けることが一般的です。ただしT字型の接続の場合、接続点を省略するケースもあるため、注意して電気回路図を読む必要があります。

コンデンサ

コンデンサはほとんどの電気回路で使われている、重要な部品の一つです。コンデンサには直流電流は通さず、交流電流のみ通すという性質があります。そのためコンデンサの性質を利用して、ノイズ成分(交流電流)をコンデンサに流し、直流電流のみを出力するといった使い方が可能です。

電気回路図において、コンデンサは2本の平行線で表現します。

抵抗器

電気には、電気抵抗が大きいと流れにくくなる性質があります。その性質を利用して、電気回路に流れる電気の量を調整する素子が抵抗器です。

抵抗器はジグザグの印で表すこともあります。

抵抗器の中でも、可変抵抗器は抵抗器の記号に矢印を付け加えて表します。抵抗器の種類による回路記号の違いも把握しておきましょう。

トランジスタ

トランジスタは半導体素子のことで、電気信号を増幅する機能や、電気回路のオン・オフを切り替えるスイッチとしての機能などがあります。

トランジスタには、エミッタ(E)、コレクタ(C)、ベース(B)の3つの端子があり、回路記号にも3本の線で表現されています。

FET

FET(Field Effect Transistor)とは、トランジスタの一種で、正式名称を電界効果トランジスタといいます。FETは通常のトランジスタと同様に、電気信号の増幅や電気回路のスイッチングの働きなどをしますが、動作のトリガーが異なります。

通常のトランジスタは電流駆動ですが、FETは電圧駆動です。つまり入力電流の大小にかかわらず、一定の電圧があればFETは動作します。

またトランジスタの回路記号はエミッタ、コレクタ、ベースの3つの端子で表されますが、FETはソース、ドレイン、ゲートの3つの端子が回路記号になっています。

ダイオード

ダイオード

ダイオードも電気製品に欠かせない部品の一つです。

ダイオードには、一つの方向の電流しか通さないという性質があります。そのため交流電流をダイオードに通すと、順方向(プラスからマイナスへと電流が流れる向き)の直流電流のみを取り出すことが可能です。ダイオードを利用すると、交流を直流に変換(整流)できるため、コンデンサと同様にスイッチング電源などの装置に使われています。

電気回路図上では、ダイオードは矢印のような記号で表現します。この矢印の向きが電流を流せる方向です。

コイル 

コイルとは、導線をらせん状に巻いた電子部品のことです。巻線が一つしかないものはインダクタと呼ぶこともあります。コイルには電子回路を流れる電流を安定させたり、ノイズ成分を除去したりする役割があります。その性質から、後述するトランス(変圧器)にも使われている電子部品です。

電気回路図では、コイルはらせん状の巻き線の形の回路記号で表されます。

トランス

トランスとは変圧器とも呼ばれ、電圧を変換する役割を持った電子部品です。

使用例として挙げられるのは安定化電源です。安定化電源では、電圧を変換する部品(トランス)、交流から直流に整流する部品(ダイオード)、ノイズ成分を除去する部品(コンデンサ)などが使用されています。そのため、トランスはコンデンサやダイオードと並んで非常に重要な部品の一つです。

トランスには、部品の一つにコイルが使われているため、回路記号も2組のコイルと1本のコアの組み合わせで表現されます。

電気回路図を読むときに覚えておきたい基本ルール

電気回路図を読むときに知っておきたいのが、以下の基本ルールです。

  • 回路図では、電流は左から右に向かって流れる
  • 回路図では、電圧は上が高く、下が低くなる
  • 同じ線でつながった部分は電圧が等しくなる
  • 同じラベルの記号は線がなくてもつながっている

基本ルールを理解していれば、電気回路図をぐっと読み解きやすくなります。まずは4つの基本ルールを覚えておきましょう。

電流は左から右に向かって流れる

電気回路図は、電流が左から右に向かって流れるように書くのがルールです。電気回路図の左側には、原則として電源(入力)を配置し、右側に出力を配置します。この基本ルールを頭に入れておくと、電気回路図の全体の流れが分かりやすくなります。

電圧は上が高く、下が低くなる

電気回路図には、左右だけでなく上下の概念もあります。基本的に電気回路図では電圧が高い側が上になり、低い側が下になっています。

ダムの水流が水圧に従って上から下に流れるように、電気回路図では電圧が高い方が上、低い方が下だと覚えておきましょう。

同じ線でつながった部分は電圧が等しくなる

電気回路図は、同じ配線記号でつながった部分は電圧が等しいと認識しておきましょう。このルールは、電気回路図の配線記号が遠く離れていても適用されます。電気回路図の電圧を調べたい場合は、配線記号を辿っていき、線がつながった部分をグループ分けすると分かりやすくなります。

同じラベルの記号は線がなくてもつながっている

電気回路図における回路記号には、電圧(V)やGNDなどのラベルが記載されていることがあります。例えば、回路図の電源の記号に10Vというラベルがある場合、その電源の電圧が10Vだということを示しています。

回路記号に同じラベルの表示がある場合は、配線記号で接続されていなくても、実際には繋がっていると考えましょう。ラベルは配線記号を省略し、電気回路図を分かりやすくするために使われます。

電気回路図の読み方や主な回路記号を知ろう

電気回路図とは、電気製品に使われる電源や素子、配線同士の繋がりなどを図で表現したものです。設計や組み立て、メンテナンス作業などの際に利用されています。

電気回路図の読み方が分かれば、電気製品の配線や仕組みをひと目で把握可能です。電気回路図を読むにあたって、まずは主な回路記号の意味や基本的なルールを覚えておきましょう。

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