本記事では、インバータ回路の基礎知識や仕組み、主な用途と種類、利用するメリットなどについて解説します。
インバータ回路とは、直流の電気を交流に変換する回路のこと
インバータ回路とは、コンバータ回路によって交流から直流に変換された電気を、再度交流に変えるために必要な回路のことです。
電気には直流と交流という2種類の流れ方があり、直流は、導線を流れる電気の向きや量(電流)、勢い(電圧)が変わらない流れ方を指します。例えば、豆電球を乾電池につないで点灯させた場合の電気は直流となります。
一方、交流は電気が流れる向きや電流・電圧が周期的に変わる流れ方のことです。変圧が容易であること、これによる高圧低電流送電によって低電力損失な送電が可能になること、プラスとマイナスを気にしなくて良いことなどから、発電所からの送電は交流で行われています。ただし、発電所から送電された電圧・周波数のままでは、家庭やオフィス、工場などで使われている家電、装置、機器などに利用することができません。
インバータ回路の仕組み
インバータ回路は、スイッチング素子(スイッチの役割をする半導体部品)を適宜オン・オフにして電流の向きを変えることにより、プラスとマイナス両方の電圧を生成し、直流を交流に変換する仕組みになっています。
インバータ回路の原理を4つのスイッチを組み合わせた回路図をもとに説明すると、
負荷に対してスイッチ1と4がオンなら2と3がオフ、1と4がオフなら2と3がオンと、対になるようにスイッチの切り替えを行うと、負荷に流れる電流の方向が都度切り替わります。すると、プラスとマイナスの電圧で出力され、交流電流が生み出されます。
インバータ回路の主な種類と用途
インバータ回路の種類は、制御方法によって大きく3つに分類されます。それぞれ変換する要素が異なるため、用途に応じて種類が使い分けられています。
VVVFインバータ
VVVFとは、可変電圧を意味するVariable Voltageと、可変周波数を意味するVariable Frequencyの頭文字を取った言葉です。VVVFインバータを利用すると、直流を交流に変換すると同時に、電圧と周波数の両方を変化させることが可能です。
主に、エアコンや冷蔵庫、産業用モーター、ポンプ、エレベーター、鉄道車両などに用いられています。
CVVFインバータ
CVVFとは、Constant Voltage Variable Frequencyの頭文字を取った言葉で、直訳すると定電圧可変周波数です。その名のとおり、電圧は一定のまま、周波数のみを変えるインバータとなっています。
主に、モーターが搭載されていない電磁調理器(IHクッキングヒーター)や炊飯器、蛍光灯に用いられています。
CVCFインバータ
CVCFとはConstant Voltage Constant Frequencyの頭文字を取った言葉で、直訳すると定電圧定周波数となります。発電所から送電される電気は、その国や地域のルールに従って一定の電圧・周波数を維持していますが、これと同じ電圧波形に変換・供給することを目的としているのがCVCFインバータです。
バッテリーと共に使用することにより、発電所から給電されていない場所や停電時に家電などの機器を使用できるようになるので、主に非常時のバックアップ目的で用いられます。
また、電柱から電線を繋げるわけにはいかないバス内などでコンセントを使用できるようにするためにも用いられています。
インバータ回路は日常生活やいざという時に役立つ装置
直流を交流に変換できるインバータ回路にはVVVFやCVVF、CVCFなど複数の種類があり、それぞれ用途に応じて使い分けられています。特にCVCFインバータは、バッテリーと共に用いることで、停電時などの非常時に機器を動作させたり、バス内のコンセントに交流電圧を供給したりするために活用されています。
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