設備や機械などは、電気の供給がなければ正常に作動しません。また電気の供給があったとしても、故障などのトラブルによって正常に作動しなくなる可能性もあります。
このような電源のトラブルが発生した際にも、継続して設備や機械を動かす仕組みが冗長化運転です。本記事では、冗長化の概要や並列運転と冗長化運転の違い、電源の交換周期を延ばす方法などについて解説します。
冗長化とは?
電源における冗長化とは、電源に万が一障害が発生したとしても、システム全体が問題なく動作するようにするための仕組みのことです。冗長化運転に対応していれば、電力供給している電源にトラブルが発生したとしても、並列接続した予備の電源によって機器を正常に作動させることが可能です。
冗長化運転と並列運転の違い
冗長化運転と並列運転では、どちらも複数の電源を並列に接続します。並列運転はいくつもの電源を並列に接続して、電力の容量を増加させる方法です。
一方で、冗長化運転は電流の容量を増加させることが目的ではありません。電力供給している電源にトラブルが発生した際でもシステムを停止させないために、予備の電源を接続する方法です。予備の電源を接続することから、バックアップ運転とも呼ばれることもあります。冗長化運転ではメインとなる電源と同じ定格の予備電源を接続するのが一般的です。
またN+1冗長運転と呼ばれる接続方法もあります。N+1冗長運転では、複数の電源(N個)を並列接続することでシステムに必要な電力を分散して供給し、冗長用として1台の予備電源をシステムに接続します。1台の電源が故障しても、1台を予備電源としてシステムダウンを防げます。
電源が故障してしまった場合に有効な冗長構成と、その注意点
電力供給している電源が故障してしまった際、予備電源を冗長運転させるためには電源を並列で接続する必要があります。電源を並列で接続してそれぞれの出力電圧に差が発生した場合に電力を供給するのは、出力電圧の高い電源のみです。出力電圧が低い電源は出力しないため、一方の電源だけに負荷が掛かってしまいます。
また機種によっては、出力電圧が低い電源に電流が逆流する恐れがあります。このような状況を防ぐために用いられるのがダイオードです。ダイオードは一方向にしか電流を流さないという性質を持っているため、各出力ライン(+)にダイオードを挿入し向かい合わせで接続することで逆流のリスクを回避できます。
ダイオードによるデメリット
冗長運転時、各電源の出力ライン(+)にダイオードを挿入し向かい合わせで接続すれば、電流の逆流を防げますが、ダイオードを取り付けたことで熱損失が増えてしまい、電圧の低下につながるため、電源側で電圧を高めに調整しておきましょう。また、ダイオードの熱損失による発熱にも注意しましょう。
冗長化運転の構成について把握しておこう
冗長化運転、並列運転では、ともに複数の電源を並列に接続します。冗長化運転は電力の容量増加が目的なのに対して、冗長化運転は予備の電源に接続してシステムを停止させないことが目的です。
冗長化運転で電流の逆流を防ぐためは、各出力ライン(+)にダイオードを挿入し向かい合わせで接続しましょう。ただしダイオードを電源に取り付けることにはデメリットもあり、熱損失が起こり発熱が生じ、また電圧低下につながるため、電源側で電圧を調整しましょう。