一般家庭や工場に供給される電気は、交流という送電方式が採用されています。交流の電気は、タービンを水や蒸気の力で回転させることで生み出されるため、回転に応じた波形が生じます。そうした波形の一つが正弦波(せいげんは)です。
多くの家電製品や電子機器は、正弦波による給電を想定して作られています。正弦波以外の波形を与えると、機器の劣化・故障・誤動作につながります。
本記事では、電源における正弦波の意味や重要性などについて分かりやすく解説します。
正弦波とは?
正弦波はサイン波(sin波)とも呼ばれ、三角関数のsin(正弦)が名前の由来になっています。実際に正弦波をグラフで表すと、数学の正弦曲線(サインカーブ)と同じ形の曲線になります。
一般家庭や工場などでは、電気の流れる向きが一定の周期で変化する交流の電気が送られます。交流の電気は、水や蒸気の力により発電機のタービンを回転させることで生み出されます。そうした発電機の仕組みによって、交流の電気には滑らかで周期的に変化する波形が現れます。その波形が正弦波です。
家庭用・事業用を問わず、コンセントに挿して使用する機器はこの正弦波での給電を前提として設計されているため、異なる波形を与えると電子機器の劣化を早め、製品の寿命が短くなってしまう恐れがあることを認識しておきましょう。
バッテリーなどの直流電源を利用する場合は?
一般家庭や工場にあるコンセントからは、正弦波の電圧を得られます。
電源の出力波形が問題となるのは、主にバッテリー(蓄電池)などの直流電源を利用する場合です。
コンセントに挿して使用する機器をバッテリーなどの直流電源で動作させるには、直流(DC)を交流(AC)に変換するインバータという装置が必要です。このインバータの出力波形は製品によっても異なるため、正弦波かどうかを事前に確認する必要があります。
ポータブル電源などの製品には、始めからインバータが搭載されています。バックアップ用電源などの用途でポータブル電源を導入する場合は、インバータの出力波形に着目しましょう。
正弦波以外の交流電源の波形
交流の電気には、正弦波以外にも以下のような波形があります。
- 矩形波(くけいは)
- 修正正弦波(修正弦波・疑似正弦波)
それぞれの特徴や、正弦波との違いについて解説します。
矩形波(くけいは)
矩形波は長方形が並んだような波形です。ポータブル電源の中には、正弦波ではなく矩形波を出力する製品もあります。出力波形が矩形波の電源は、安価に製造でき、小型軽量化しやすいという強みがあります。
矩形波は、正弦波と比べると滑らかな波形をしていないため、電源としての安定性が要求される精密部品を内蔵した電子機器や医療機器への使用には不向きです。こうした電子機器に矩形波の電源を使用すると、故障や誤動作の原因になる場合があります。
修正正弦波
矩形波を重ね合わせ、正弦波に近づけた波形のことを修正正弦波と呼びます。波形は正弦波のような波の形ですが、凸凹しており、滑らかではありません。
修正正弦波の電源は、電力の品質で正弦波に劣っているものの、矩形波よりも幅広い電子機器に使用することが可能です。
例えば、修正正弦波が使用可能な電子機器として、白熱電球やホットプレートなどが挙げられます。それ以外の電子機器にも一時的であれば使用できますが、長期的に使用し続けると故障や誤動作の原因となるため、推奨はできません。
なお、修正正弦波と区別するため、正弦波は純正弦波と呼ばれる場合があります。ポータブル電源を利用する際は、正弦波・矩形波・修正正弦波の3つのうち、どの出力波形かを確認しましょう。
電源における正弦波の重要性を知ろう
ポータブル電源などの電源を選ぶとき、重要なポイントとなるのが出力波形です。電源の出力波形の中でも、数学の正弦曲線のような一定の周期で変化する波形を正弦波と呼びます。家電製品は、家庭用のコンセントから供給される正弦波で動いています。家電製品や電子機器によっては、正弦波以外の出力波形の電源を使用すると故障や不具合を引き起こす可能性があります。
ポータブル電源には、出力波形が矩形波や修正正弦波の製品もあるため購入する前によく確認しましょう。
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